合併後も立ちはだかった見えない壁
グループ会社2社が合併し、新会社が発足。しかし、ほとんど相互の交流もなく完全に独立して仕事をしていた組織同士であったため、仕事に対する考え方や業務のプロセス、組織体制などが大きく異なっていました。そのため、意図せず、それぞれの旧会社の社員でグループに分かれてしまい、お互いに見えない壁ができてしまっていたのです。相乗効果を発揮するどころか、お互いに足を引っ張り合っているようなことも起きていました。社長の言葉によれば「見るべきは組織としての共通のゴールであるにも関わらず、お互いをライバルとして牽制し合う」状態になっていたのです。組織がベクトルを一つにする事ができるよう、社長が全社的な方向性を打ち出したが、単なる謳い文句になってしまっており、組織内でビジョンを明確に理解し、共有することが急務となっていました。
組織文化も業務プロセスも異なる会社同士の合併の難しさ
組織文化の異なる2つの組織が合併したが、社員にはそのような動きがあることを、直前まで知らされていませんでした。そのため、社員は少なからず動揺してしまっていました。市場環境を考慮すると、必然的な合併であり、社員も頭では理解できていましたが、急激な変化に気持ちがついていくことができないでいた。双方が自組織のやり方を合理的だと感じており、今までのやり方を踏襲していきたいという思いを強く持っていました。
両組織のメンバーを混在させたワークショップでビジョンの共有を目指す
最初の打ち手として、人数が多かったために両組織のメンバーを混在させながら分割して数回の3時間ワークショップを行いました。ここでの目的は「お互いに率直に話す土台を作り、ビジョンについての議論を行うための土台を作ること」でした。それを皮切りに、各部署でビジョン共有のためのディスカッションの時間を持つことを課題としました。そして、一人ひとりが行動を変容していくことができるよう、コーチングを行いながら、丁寧に具体的なアクションへと落とし込んでいきました。
ワークショップを皮切りに現場にあった見えない壁もなくなった
ワークショップをきっかけに、議論の活性化がなされました。もともと、お互いに腹を割って話をする必要性を感じていたし、話したいという思いを持っていたので、場を提供することで、一気に心理的な壁が低くなりました。そして、職場においても率直なディスカッションをする場を設けることで、少しずつゴールが共有化され、業務のプロセスについても客観的に眺めることができるようになりました。