仕事ができる=リーダーシップがあるというわけではない
各店舗の店長は人格的には人当たりもよく、いわゆる「いい人」だが、リーダーシップを発揮できていなかませんでした。基本的には各店舗で全体のオペレーションを把握し、的確に動くことのできる人が店長に任命されます。そのため、アルバイトからスタートして店長になった人もいました。それはもちろん悪いことではありませんが、現場の叩き上げであるが故に、プレーヤーとしての視点でしか動くことができず、チームのマネジメントに対する意識が欠如していたのです。そして、プレーヤーとして業務をこなすことで満足している人も少なくない状況でした。そのため、店長とメンバーとの間のチームとしての意思疎通が十分ではなく、育成面にも大きな課題が生じていました。
優秀なプレイングマネージャーが組織の成長のブレーキに
各店長はプレーヤーとして優秀であり、自ら動けば数値目標も達成できてしまっていたため、今のままで良いとの思い込みができてしまっていました。多くがリーダーとしての役割を体系的に学んだことがなく、他店の店長も同じような動き方をしているので、自分の立場で求められる役割はこれで良いという認識が固定化されていたのです。リーダーシップについて考えていないわけではなく、固定観念が学びを阻害していたのです。
リーダーがやるべき重要なことは何なのか、ワークショップで学ぶ
わたしたちはマネージャーに対して会社が求めていることを整理、体系化し、リーダーシップ研修を提供しました。テーマごとによくあるケースを準備し、丁寧に普段の自分自身の行動を洗い出し、他の店長と情報共有を行いながら、プレイヤーとしてではなくリーダとして取るべき行動のイメージづくりをしていきました。そして、研修の中でもリーダーシップが発揮できていたかを相互にフィードバックし合うことによって、自分自身の行動や思考の傾向を認識してもらいました。
ワークショップの最後に行動計画を策定し、研修後にペアでお互いにフォローし合いながら行動の定着化を図りました。
さらに半年後にフォローアップ研修を実施し、さらなる改善のためのアクションプランの作成をしました。
「リーダーとして何をすべきか」という思考で現場でも行動できるように
研修ご担当者が抱いていた店長への一つの不満が、「思考が浅い」ということだった。研修後にいただいた情報の中で、店長の変化として以下のようなフィードバックがありました。
「まだ完璧とは言えないが、以前よりも視座が高まり、チームとしてどうしていったらいいかという視点で行動できている。全社的な方針の中で、自分のチームが何を求められているのかを考える習慣ができつつある。」
研修後のペアによるフォローについても、定期的に実施しながら、行動の変容が見られたことがフォローアップ研修の中で確認できました。プレーヤーとしての役割も大切ですが、それだけではなく、リーダーとして全体観を意識しながら動けるようになっているという意見が店長の口からも出ていました。